録音は天まかせ

今から7〜8年くらい前の出来事です。今でこそ二日や三日出かけても仕事が山積みになることはなくなりましが、以前はたった三日空けただけでその後3ヶ月も寝る暇のなくなるという、今では懐かしい思い出でもあります。

そんな中で少しの時間を見つけては録音を始めたのですから、さらに過酷な事でした。

それに加えて時間と費用の節約で、ほとんど車中泊でした。

山積みの作業をこなし、慌ただしく夜中の2時くらいに会社を出発。行き先は山梨県中部か北部、または富士山麓です。録音となると夜明け前、4時15分くらいまでに録音機のセットを完了しなければなりません。

危険は承知で高速道路、人の少ない山里、山道を猛スピードで走り抜けて行きます。

今となっては、まあよく無事で済んだと思わざるを得ません。

 

ある時から、富士山麓にある広大な別荘地に目をつけ盛んに録音をしていましたが、別荘地はどうしても人の気配や下界の車の雑音が気になります。その後、富士山中腹に素晴らしい紅葉樹林帯を見つけ、足繁く通うようになりました。この林は樹齢200年前後と推定できる老木も多く、高さ30メートルにも及ぶ樹林帯です。地上は背丈より高いクマザサの中を懐中電灯でかき分けながら入って行きます。何回通っても背筋が寒くなる思いをします。おまけに熊注意の看板も…、録音中の機材を舐められたこともあります。